〜 第 12 回 〜  

■生ゴミ肥料化・飼料化の問題

 前号の食品リサイクル法の話の中で、生ゴミ処理機メーカーの生ゴミ堆肥化が失敗したことに触れたが、今回は、もう少し詳しく述べる。生ゴミ処理機で食品残渣を微生物分解することで生ゴミを堆肥化していくことは確かに可能である。しかし、多くの生ゴミ処理機は、有機物分解の過程を好気性バクテリアのみの力に依存するため、分解が不完全であり、そのまま肥料として使うことは出来ない。一度、中間施設でじっくりと熟成させて完熟堆肥にする必要があるが、その施設は広大な設置面積を要し、熟成期間も1ヶ月以上を要する。そうしてようやくできた生ゴミ由来の完熟堆肥であるが、商品としての競争力を考えてみると、ホームセンターなどで30kg詰めの鶏糞や牛糞堆肥が,たったの200円前後で販売されていることを考えると,製造コストを考える限り金額的に勝てるとは思えない.また製造された生ゴミ堆肥にはもう一つ問題がある.給食施設や惣菜工場、旅館やレストランで発生する生ゴミは、調理するメニューが日替わりであるため、当然発生する生ゴミの種類も異なる。そうなると製造される生ゴミ堆肥の成分もロットごとにバラツキが出てくることになる。農家で使用する肥料は、農作物により窒素・リン酸・カリの三大栄養素の比率が決まっていて、前作で消費した栄養分を補うように栄養比率を考えながら施肥を行なうわけだが、製造日ごとに栄養比率がばらついてしまう生ゴミ堆肥を、喜んで使用する農家などあるわけが無い。つまり肥料として有効活用しようとすれば、毎回同率の生ゴミをブレンドして製造して、生ゴミの内訳が明確になっていないと肥料成分を安定化出来ないといえる。

 飼料ではどうだろうか?2002年に西日本新聞の「食卓の向こう側」というブックレットに、衝撃的な記事が掲載された。コンビニの賞味期限切れの弁当を餌にしていた養豚業者において、その弁当を与えつづけたところ子豚の死産や奇形が相次いだ。元の配合飼料に戻したら、正常な繁殖が可能となったとのこと、加工食品には合成保存料や合成着色料などが多数使用されており、それらは人間の体重を基準に添加量が「安全」であるように定められているが、養豚において子豚の育成には危険な添加量であったかもしれない。肥料に話を戻す。企業が農家を囲い込みして、企業で発生する生ゴミ堆肥を肥料として使用してくれるのであれば、その畑で生産される農作物を買い取るという図式は可能な話であるし、企業としては、まさにリサイクルは完結できるわけで一見理想的であるといえる。
 しかし、上の養豚業者の話を良く考えて欲しい。加工調理品を生ゴミ処理機で堆肥化していけば、それらの食品添加物の多くは微生物分解すると思われるが、もし分解されずに残るとすれば生ゴミ処理の性質上、水分は蒸発して、それらの化学物質は濃縮されて肥料に蓄積する。それを施肥した農作物が吸収すれば大根やニンジンなどの根菜類には更に濃縮されて蓄積されていくことだろう。厚生労働省において安全と定められた食品添加物の濃度は明確である。しかし薬が濃縮された野菜を摂取して体内に蓄積されていく場合の安全度は全くの未知数といえる。前述の子豚の死産のような予期せぬ事態も、自分の子供や孫の世代に影響が出ないとは言い切れない。ダイオキシンなどの環境ホルモンやアスベストなど、過去には安全であるといわれていたものが、研究が進むにつれて危険視されることはこれまでにもあった。仮に人的被害を及ぼせば過去に遡り製造者が責任を追及されるわけだ。それでも生ゴミ堆肥を農作物の肥料に使うことは、筆者にはとうてい考えられないのである。次号では、この生ゴミ堆肥の行方を考えてみたい。

第十一回は


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